1964年、チョコレートが子どものお菓子だった時代に、ハイクラウンは大人のチョコレートとして発売されました。値段は一般的なのチョコレートの1.5倍。まるでタバコのパッケージを思わせるパッケージデザインは当時斬新で、大ヒット商品となりました。それから50年が経ち、チョコレートは当たり前の存在となりました。手軽なものはコンビニでもすぐに買えるし、高級チョコレートも選択肢がたくさんある。そんな時代に、ハイクラウンの価値はどこにあるのかを考えるところからはじめました。
森永製菓の創業者 森永太一郎は、有田焼の商人としてアメリカにわたり、そこで初めてキャラメルを口にした感動から、それを日本でも販売しようと考えました。帰国後、2坪の店舗で起業。西洋菓子が珍しかった当時、まったく買い手がつかないなか、屋台のような移動式店舗で都内中で売り歩いたそうです。まさにチョコレート・スタートアップ。その起業家精神は、その後も日本初の大規模チョコレート工場の創設や、日本で初めてバレンタインデーを実施するなど、様々なものを生み出していきます。ハイクラウンに込められた「チョコレートを子どものお菓子から大人の嗜好品に」という考え方にもその精神があらわれています。ハイクラウンのリブランディングを通して、その精神をいま一度森永製菓のものとできないかと考え、「2坪のお店」「屋台のような店舗」をモチーフとした店舗を企画しました。什器は屋台のようなかたちをしていて、販売面積をあわせると2坪となります。
森永太一郎の出身地に因み、東京駅をあしらった有田焼がパッケージとなった商品を企画。3000円〜1万円という価格にも関わらず、即完売となりました。受注生産で30万円のチョコレートのお重も制作し好評を博しました。
どの製菓メーカーよりも長い歴史を持つ森永製菓のチョコレートにはたくさんのデータの蓄積や、研究の成果をもとにした工夫が施され進化し続けています。その情報をインプットしたうえでチョコレートを食べると、よりおいしく感じる。そんなリーフレットを制作しました。
Creative Direction: Hidetoshi Kuranari
Creative Produce: Masami Oshio
Art Direction & Graphic Design & Package Design: Moe Furuya
Graphic Design: Takanori Naka, Shunsuke Aoki, Kumiko Shiraki
Copywriting: Tomoyuki Torisu, Nadya Kirillova
Space Produce: Kenji Ozaki
Space Design: Yoh Komiyama Design
Photo: Atsushi Maya
Client: Morinaga & Co., Ltd.