被爆から76年を迎えるこの日、長崎新聞には見開き30段の広告、原爆投下当時の航空写真を掲載した15段、原爆の威力を表した図など6種類のインフォグラフィックスを掲載した5段の広告という3種類の広告が掲載されました。見開き30段の広告紙面を埋め尽くしたのは、黒い丸でした。その数は1万3865個。2つだけ赤い丸があります。黒い丸は、今現在、世界中に存在する核兵器の数を示し、2つの赤い丸は76年前、1945年8月6日と9日に広島と長崎に投下された原子爆弾を示しています。たった2発の爆弾で2つの都市が壊滅した。それ以上の威力を持つ爆弾が、これだけの数、今現在世界に存在している。世界に存在する核兵器1万3865発と、使用された2発の核兵器を新聞紙面で見せることで、その脅威を感じてもらいたいと考えて制作をしました。
2021年の8月9日はオリンピック閉会式の翌日ということもあり、原爆忌であることが忘れられてしまうのではないかという懸念がありました。一方で2021年は、核兵器禁止条約が発効された年でもあります。76年もの間、“現実的ではない”、“不可能だ”と言われながら、声を上げ続けた被爆者をはじめとする多くの人たちの努力や挑戦によって、核兵器廃絶が一歩ずつ現実に近づいているのです。被爆者をはじめとする核兵器廃絶に声を上げ続けてきた人たちは“挑戦者”であり、その挑戦はこれからも続いていく。そのことをテーマにし1万3865個の黒い丸とともに、メッセージを発信できないかと考えました。
核兵器禁止条約が発効されたものの、核保有国や日本はいまだ参加を表明しておらず、世界には1万3000発以上の核兵器が存在しています。核兵器が存在する以上、それが使われるリスクも存在しています。私たち人類すべてが、核兵器の問題の当事者であることを感じてもらいたいと考えました。
SNSで多くの反響があったほか、報道ステーションやnews zeroといった番組で紹介され、一部新聞が完売する地域もありました。
見開き30段の広告と、5段の広告に掲載されたインフォグラフィクスを平和学習の教材として役立ててもらうべく、ワークショップを実施しました。その際の授業の進行をもとに「活用ガイド」をまとめ、授業で活用したい学校など向けに、ダウンロードできるようにしました(2021年10月20日まで)。9月21日の国際平和デーにあわせて新聞広告などで告知し、多くのかたにご利用いただきました。
Supervisor: Kazuma Fukuoka
Creative Direction+Copywriting: Tomoyuki Torisu
Art Direction: Rio Ebato
Graphic Design: Yoshihiro Yarita, Sakura Kosaka
Copywriting: Mitsuhiro Hayashida
Produce: Hiroaki Eguchi, Masanobu Takamura
Special Thanks: Soutaro Takahashi
Client: Nagasaki Shimbun