既存躯体を活用し、木や土といった自然素材の使用、プラスチックや旧社屋の廃材をアップサイクルしたプロダクトなど、細部に至るまで「循環」をテーマに設計された建物となっています。特に4トンもの建設残土を活用して塗られた土壁は圧巻。社員の方々も巻き込みながら土壁塗りワークショップを行うことで、自社ビルへの愛着の醸成につなげるなど様々な工夫がなされています。
Better社では本計画の情報発信のための「GOOD CYCLE PROJECT」の企画・実施と、階段室・エレベーターホール周辺のサイン計画に携わりました。エネルギー削減や社員の健康増進のため、エレベーターを一機削減。階段の積極利用を促すサインが求められました。階段の形をしたステンレスの板に、階段の使用を促すコピーが書かれたサインを設置しています。
小さな窓があるのみだった階段室には、地上からの高さを示す数字を壁に、自然界のなかでその高さに相当するものを示す言葉を階段に設置しました。(2階から3階のあいだの6mの部分には「蚊がギリギリ飛べる高さ」など。)壁の数字がまず目に入り、階段を登っていくとそのラインが何を示しているのかわかる仕組みになっています。階段を登る楽しみと、階段の外にある自然を想像させるサインを目指しました。
各フロアの階数表示にも工夫を。GOOD CYCLE BUILDINGに使用されている様々な建材を紹介する「素材のエンドロール」としての機能を持たせました。土でつくった「版築ブロック」から、木のテラゾー、環境配慮コンクリートなど、多様な建材のショーケースとなっています。お客様がビルを内覧する際などに、プレゼンテーションの機会として活用いただくことも想定しています。
Architect:Norihisa Kawashima
Copywriter:Tomoyuki Torisu
Art Director:Moe Furuya
Photographer:Jumpei Suzuki